インフレこそ正常な市場経済を促進させる
2006年5月29日【経済コラム】日本の新たな輸出品、それは金利上昇−W・ペセック
5月29日(ブルームバーグ):インドのムンバイで今年1月、私はインド中央銀行のナンバー2に「日本の復活がアジアにとって意味することは?」と質問した。最近、あらゆる政策当局者に尋ねている質問だ。
インド中銀のモハン副総裁は、ためらうことなくこう答えた。「円キャリートレードによって、状況は興味深いものになるだろう」。円キャリートレードとは、円キャリートレードとは、円資金を低金利で調達し、その資金をより利回りの高い他国の投資商品で運用する投資戦略のことだ。
副総裁の答えは私の予想とは異なるものだった。私はインド中銀の次期総裁になるかもしれないこの人物から、インド製品の需要が拡大することや、日本の回復がアジアの経済環境の安定につながることなどの話が聞けると思っていた。
ただ、今になると、円に注目したモハン副総裁の見方は、非常に示唆に富むものだったように思える。最近のインドやアジアの株式相場の動きを見ると特にそう感じる。
米ドル安や国際商品相場の下げをきっかけに始まった株式相場の急落は、円キャリートレードの解消によってさらに加速した。インド・センセックス指数は先週、3カ月ぶりに一時1万ポイントの大台を割り込んだ。
過去10年間、円キャリートレードは市場の糧だった。多くの場合、ただ同然の円資金を調達し、その資金をより金利が高い米国債やより収益率の高いインド株に投資する手法は、安全な投資戦略だった。
そうした状況が、日本の景気回復に伴う金利上昇によって変わろうとしている。
4月の日本の消費者物価(CPI)は6カ月連続で上昇。これにより日銀が近く、2000年8月以来初めてとなる利上げに踏み切る可能性が高まった。26 日には、コアCPIが前年同月比0.5%上昇したとの報道を手掛かりに、国債相場の下落につながった。
円キャリートレード
日本の短期金利や債券利回りは長らく放置されたままだった。投資家がその水準に疑問を持たなかったためだ。日本の景気回復は、その兆候が表れたとたんに消えてゆく傾向がある。約15年間にわたり成長の安定化やデフレ回避に失敗した日銀に対する市場の信頼感はさほど強くない。
それでも、長らく待ち望まれた日本のプラス成長への復帰は実現した。たとえ年5%の成長にはならなくても、日銀がゼロ金利政策を解除することにほとんど疑問の余地はない。日銀は日本の金融政策を通常に戻すことを切望している。
国際市場は、日本の金利上昇がもたらす悪影響を認識するのが遅かった。しかしここ数週間は、アイスランドからトルコ、そしてインドに至るまで驚くほど大幅な値動きが見られている理由の1つに、円キャリートレードの解消が挙げられている。今後は円相場そのものの動きがさらに激しくなる公算もある。
乏しい情報
円キャリートレードが懸念の対象となり、市場の潜在的な問題と受け止められやすいのは、実際のところその規模を誰も把握していないためだ。どれほどの企業やヘッジファンド、投資信託が円キャリートレードを行っているかといった信頼性の高い情報は日銀にはない。
国際決済銀行(BIS)や国際通貨基金(IMF)、ニューヨーク連銀により良い情報があれば不安は和らぐはずだが、上海の不動産やグーグルの株式、ジンバブエの国債、金地金、デリバティブ(金融派生商品)に投資された資金のうちどの程度が円建てで調達されたものかといったことを実際に把握することはできない。
何だか陰謀説のように聞こえるかもしれないが、これまでにも円キャリートレードが市場に打撃を与えた例はあった。最良の例はロシア政府の債務不履行(デフォルト)がヘッジファンドの米ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の崩壊を加速させた1998年暮れの出来事だ。これを受けて長年にわたり軟調な動きになっていた円相場は、2カ月足らずで20%急騰した。
上昇に向かう金利
ヘッジファンドの数は1990年暮れ以降、急激に増加した。世界全体で8661 に上るヘッジファンドの運用資金は1兆1000億ドルに達した(昨年末現在、ヘッジファンド・リサーチ集計)。ヘッジファンドの多くは、四半期ごとに収益を上げる必要があることから、レバレッジ率は以前より高くなっている。問われるべき問題は、原油相場の上昇が続いたり、ドルが急落したり、大規模なテロ攻撃が起きたり、鳥インフルエンザが大流行したり、日銀が予想より積極的な引き締め政策をとったりした場合にどうなるかだ。逃げ場を求める投資資金が膨らめば、市場はかつてないほど混乱する可能性がある。
世界は日本の景気回復を心待ちにしていた。その実現はアジアにとって朗報だ。しかし気をつけなければならないこともある。日銀の利上げは、金利上昇の輸出につながる可能性があるのだ。
原題:Japan’s Next Export Is Higher Interest Rates: William Pesek Jr. (抜粋) {NXTW NSN IZZJWI1A1I4H}
ムスリムでもない資本主義国がずっと0金利政策やることが異常。名目成長率GNPだってインフレにすれば5%以上、中国と競争できる錯覚できる。結局国民の財が、低すぎる金利のため海外に流出してるわけじゃん・・
5月29日(ブルームバーグ):インドのムンバイで今年1月、私はインド中央銀行のナンバー2に「日本の復活がアジアにとって意味することは?」と質問した。最近、あらゆる政策当局者に尋ねている質問だ。
インド中銀のモハン副総裁は、ためらうことなくこう答えた。「円キャリートレードによって、状況は興味深いものになるだろう」。円キャリートレードとは、円キャリートレードとは、円資金を低金利で調達し、その資金をより利回りの高い他国の投資商品で運用する投資戦略のことだ。
副総裁の答えは私の予想とは異なるものだった。私はインド中銀の次期総裁になるかもしれないこの人物から、インド製品の需要が拡大することや、日本の回復がアジアの経済環境の安定につながることなどの話が聞けると思っていた。
ただ、今になると、円に注目したモハン副総裁の見方は、非常に示唆に富むものだったように思える。最近のインドやアジアの株式相場の動きを見ると特にそう感じる。
米ドル安や国際商品相場の下げをきっかけに始まった株式相場の急落は、円キャリートレードの解消によってさらに加速した。インド・センセックス指数は先週、3カ月ぶりに一時1万ポイントの大台を割り込んだ。
過去10年間、円キャリートレードは市場の糧だった。多くの場合、ただ同然の円資金を調達し、その資金をより金利が高い米国債やより収益率の高いインド株に投資する手法は、安全な投資戦略だった。
そうした状況が、日本の景気回復に伴う金利上昇によって変わろうとしている。
4月の日本の消費者物価(CPI)は6カ月連続で上昇。これにより日銀が近く、2000年8月以来初めてとなる利上げに踏み切る可能性が高まった。26 日には、コアCPIが前年同月比0.5%上昇したとの報道を手掛かりに、国債相場の下落につながった。
円キャリートレード
日本の短期金利や債券利回りは長らく放置されたままだった。投資家がその水準に疑問を持たなかったためだ。日本の景気回復は、その兆候が表れたとたんに消えてゆく傾向がある。約15年間にわたり成長の安定化やデフレ回避に失敗した日銀に対する市場の信頼感はさほど強くない。
それでも、長らく待ち望まれた日本のプラス成長への復帰は実現した。たとえ年5%の成長にはならなくても、日銀がゼロ金利政策を解除することにほとんど疑問の余地はない。日銀は日本の金融政策を通常に戻すことを切望している。
国際市場は、日本の金利上昇がもたらす悪影響を認識するのが遅かった。しかしここ数週間は、アイスランドからトルコ、そしてインドに至るまで驚くほど大幅な値動きが見られている理由の1つに、円キャリートレードの解消が挙げられている。今後は円相場そのものの動きがさらに激しくなる公算もある。
乏しい情報
円キャリートレードが懸念の対象となり、市場の潜在的な問題と受け止められやすいのは、実際のところその規模を誰も把握していないためだ。どれほどの企業やヘッジファンド、投資信託が円キャリートレードを行っているかといった信頼性の高い情報は日銀にはない。
国際決済銀行(BIS)や国際通貨基金(IMF)、ニューヨーク連銀により良い情報があれば不安は和らぐはずだが、上海の不動産やグーグルの株式、ジンバブエの国債、金地金、デリバティブ(金融派生商品)に投資された資金のうちどの程度が円建てで調達されたものかといったことを実際に把握することはできない。
何だか陰謀説のように聞こえるかもしれないが、これまでにも円キャリートレードが市場に打撃を与えた例はあった。最良の例はロシア政府の債務不履行(デフォルト)がヘッジファンドの米ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の崩壊を加速させた1998年暮れの出来事だ。これを受けて長年にわたり軟調な動きになっていた円相場は、2カ月足らずで20%急騰した。
上昇に向かう金利
ヘッジファンドの数は1990年暮れ以降、急激に増加した。世界全体で8661 に上るヘッジファンドの運用資金は1兆1000億ドルに達した(昨年末現在、ヘッジファンド・リサーチ集計)。ヘッジファンドの多くは、四半期ごとに収益を上げる必要があることから、レバレッジ率は以前より高くなっている。問われるべき問題は、原油相場の上昇が続いたり、ドルが急落したり、大規模なテロ攻撃が起きたり、鳥インフルエンザが大流行したり、日銀が予想より積極的な引き締め政策をとったりした場合にどうなるかだ。逃げ場を求める投資資金が膨らめば、市場はかつてないほど混乱する可能性がある。
世界は日本の景気回復を心待ちにしていた。その実現はアジアにとって朗報だ。しかし気をつけなければならないこともある。日銀の利上げは、金利上昇の輸出につながる可能性があるのだ。
原題:Japan’s Next Export Is Higher Interest Rates: William Pesek Jr. (抜粋) {NXTW NSN IZZJWI1A1I4H}
ムスリムでもない資本主義国がずっと0金利政策やることが異常。名目成長率GNPだってインフレにすれば5%以上、中国と競争できる錯覚できる。結局国民の財が、低すぎる金利のため海外に流出してるわけじゃん・・
コメント